今日のコーンは

9月12日の記事
トウモロコシ市場
 本日は、米農務省より9月の需給報告が発表されます。米国産トウモロコシの1エーカーあたりの単収は、前月発表値の175.1ブッシェルに対して173.4ブッシェル予想となっております。米国産大豆の1エーカーあたりの単収は、前月発表値の48.9ブッシェルに対して49.2ブッシェル予想となっております。米国産トウモロコシの単収が少し下方修正され、米国産大豆の単収が少し上方修正される市場予想となっております。先週6日に米農務省から発表された週間作柄・育成進展状況では、米国産トウモロコシの作柄がわずかに悪化し、米国産大豆の作柄がわずかに改善されておりました。
 米国産トウモロコシは、10月中旬頃から収穫が始まります。現時点での草丈はかなり高くなっており、多少の天候変化では作柄はあまり変化しません。それにより、この時期の作柄変化は、それほど神経質になる必要もありません。10月になると、天候を見ながら収穫のタイミングを計ることになります。収穫期は、長雨がもっとも怖いとされております。長雨でトウモロコシが倒れると大型のコンバインでは上手く収穫できないようです。また収穫する段階では水分が18%以下であることが望ましいとされております。長雨で穀粒の乾燥が遅れることになり、水分が高いまま収穫すると高温の乾燥機にかけたり、保管中の品質の劣化が進むことになります。本日12時時点でのウエザーニュースの天気予報では、今月25日までのシカゴの降水予報は、「曇り一時雨」が4日間ほど予想されており、今後の天候はそれほど気にする必要もなさそうです。
 米国産のトウモロコシや大豆にとって、米農務省による9月の需給報告は特別な意味があります。収穫期直前の需給報告となるだけに、その年の単収と生産高をある程度予想する手掛かりとなります。また、米農務省による9月の需給報告の発表を終えると、投資家の注目が天候から需給に移り始める時期を迎えます。それにより天候相場的な考え方から需給相場的な考え方へと移行する必要がありそうです。「豊作観測=売り」という天候相場的な考え方は、「豊作観測による安値=消費者の消費意欲を高める」とか「豊作観測による安値=農家の売り渋りを招く」という考え方へ移行する必要もありそうです。
シカゴコーンの過去10年間の値動きでは、この時期に4ドルを割り込んでいたことが5回ほどありますが、そのいずれも10~12月頃に向けて4ドル台まで上昇しております。この時期に生産コストとされる水準を大きく割り込んでいると、農家の売り渋りにより現物市場は有りがすれ状態となり、「現物呼び出し相場」に発展するというケースも多いようです。現時点での米国産トウモロコシの生産コストは3ドル94セント付近ですので、農家の売り渋りが広まりそうです。
気象庁から先週末に発表されたエルニーニョ監視速報では、「ラニーニャ現象が発生しているとみられる。今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い。」との発表が行われました。それにより南米産トウモロコシがラニーニャ現象による干ばつ被害を被る可能性が高まりそうです。トウモロコシの生産高は、南米産より米国産の方が圧倒的に多いのですが、輸出高に関しては、米国産より南米産の方が多いのです。そしてトウモロコシの世界最大の輸入国は日本です。南米産トウモロコシがラニーニャ現象による干ばつ被害により生産高と品質が低下すれば、米国産トウモロコシへの依存度が高まります。今年の米国産トウモロコシの品質は、現在の豊作観測からも分かるように平年以上に良好です。ブラジルでは、9月頃からトウモロコシの作付けが開始されます。過去にもラニーニャ現象により南米産のトウモロコシや大豆が甚大な被害を被ったことが何回かあります。

 

今日の原油は

9月12日の記事
原油市場
 先週末のNY原油は、米国株安やオイルリグ数の増加などに圧迫されて大幅下落となりました。ボストン連銀のローゼングレン総裁は、「利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあり、金融安定をリスクにさらしかねない。」と述べ、利上げ観測が高まった模様。FF金利による利上げ確率は、9月が30%、12月までが58%となりました。ベーカーヒューズから先週末に発表された米オイルリグ数は、前週比7基増の414基となり、3か月半で31%の増加となりました。本日9時半時点の東京原油は、1010円安付近で推移。
先週8日に発表されたEIA週間石油在庫統計では、ハリケーンの影響で米原油在庫が1450万バレル減となり、1999年以降で最大の減少となりました。それを受けて8日のNY原油が47.7ドル付近まで上昇しました。しかし、翌9日には、「ハリケーンの影響は一時的」との見方が広がりました。ハリケーン「ハーマイン」の影響で米国の原油生産と原油輸入に支障が生じたことで大幅な在庫切り崩しとなりました。しかし、その反動で今週発表されるEIA週間石油在庫統計では、米国の原油生産と原油輸入が増加するという見方もあるようです。
CFTCから先週末に発表されたNY原油におけるファンドの買い越し枚数は、前週比5万5493枚減の28万5795枚となりました。NY原油におけるファンドの買い越し枚数は、8月23日時点で35万3744枚まで増加して過去最高を記録しましたが、その後は、2週連続で減少となっております。しばらくは、膨らみ過ぎたファンドの買い越し枚数の玉整理が予想されます。

 

今日の原油は9/1

9月1日の記事
原油市場
 昨夜のNY原油は、EIA週間石油在庫統計の発表を受けて大幅安となりました。現在のドル円は、昨日15:15比で10銭ほど円安です。
 昨夜発表のEIA週間石油在庫統計は、原油が92万バレル増予想に対して230万バレル増となりました。ガソリンは69万バレル減、ディスティレートは150万バレル増でした。この2か月間の原油在庫は、比較的横ばいを続けております。一方、この2か月間のガソリン在庫は減少傾向、ディスティレート在庫は増加傾向を続けているものの、これは季節的要因といったところでしょうか。230万バレル程度の原油在庫の増加発表で昨夜のNY原油が大幅下落となったことに疑問に感じた投資家も多いのではないでしょうか。NYの内部要因の悪化や、増産凍結協議に向けた不透明感が昨夜の原油市場を圧迫したのかもしれません。
 NY原油におけるファンドの買い越し枚数は、この3週間で約32%も増加し、5月中旬に記録した過去最高の買い越し枚数まであと1万5000枚程に迫っております。また、NY原油オプション取引におけるファンドの買い越し枚数は、8月23日時点で過去最高となりました。増産凍結協議の開催決定を受けてNY原油市場におけるファンドの買い越し枚数が3週連続で大幅増加となり、それがNY原油の内部要因を悪化させているようです。
 9月26~29日に開催予定の増産凍結協議に対して、イランやイラクサウジアラビアの動向が不透明であることもNY原油を圧迫しているようです。サウジアラビアの石油相は昨夜、「原油需要に関しては心配していない。中国からの需要は非常に順調だ。サウジアラビアの原油生産の目標は設定しておらず、原油生産は需要に合わせるべきだ。」と述べております。一方、イラクの石油相は8月27日、「イラクは、埋蔵量に見合ったシェアを維持しつつ、原油相場下支えに向けてOPEC内で積極的な役割を果たす。」と述べております。また、イラクのアバディ首相は8月23日、増産凍結協議に対して、「我が国は前向きではない。なぜなら本来の原油生産をまだ下回っているからだ。」と述べております。そしてイランの石油相は、同国原油生産が経済制裁前の水準まで回復する必要性を何度も述べてきました。こうしたイランやイラクサウジアラビアのこれまでの要人発言を考えると、9月26~29日に開催される増産凍結協議が難航することも考えられます。そして、NY原油の昨夜の大幅下落を受けて、テクニカルが悪化したことも注目でしょう。

今日の原油は8/31

8月31日の記事
原油市場
 昨夜のNY原油は、ドル高やNYダウ安に圧迫されて下落。NY原油は、8月19日に48.75ドルまで上昇しましたが、その後はじり安基調となっております。一方、東京原油は、8月23日に2万9030円まで下落しましたが、その後はじり高基調となっております。先週末のイエレンFRB議長やフィッシャーFRB副議長講演を受けて米国利上げ観測が高まっており、それを受けてドル高&円安が進んでおります。ドル高は、ドル建て銘柄であるNY原油を圧迫することになります。その一方で、円安は、円建て銘柄である東京原油の換算値を上昇させます。今週末発表の米雇用統計が良好な内容となれば、米国の利上げ観測が更に高まることも考えられます。今週末に発表される米雇用統計の非農業部門雇用者数は、前月発表値の25.5万人増に対して18万人増予想となっております。8月の非農業部門雇用者数に対する市場予想平均が過去2年間の平均を5万人ほど下回ることから、今回の発表が市場予想平均を上回る可能性もありそうです。
今朝発表されたAPI週間石油在庫統計は、原油が92万バレル増予想に対して94万バレル増、ガソリンが120万バレル減予想に対して160万バレル減、ディスティレートが15万バレル減予想に対して300万バレル増となり、クッシング原油は62万バレル減でした。
NY原油におけるファンドの買い越し枚数は、8月2日時点で26万7192枚まで減少しましたが、その後の3週間で35万3744枚まで約32%も買い越し枚数が急増しました。それにより、5月17日に記録した過去最高の買い越し枚数まであと1万5025枚まで迫りました。また、NY原油オプション取引におけるファンドの買い越し枚数は、8月23日時点で前週比8万8924枚増の24万1196枚となり、過去最高の買い越し枚数となりました。増産凍結協議の開催決定を受けてファンドの買い越し枚数が3週連続で大幅増加となりました。しかし、イラクやイランが増産凍結に対して難色を示しており、増産凍結協議に対して不透明感も出てきた模様。しばらくは、膨らみ過ぎたファンドの買い越しポジションの玉整理が進むと考えるべきかもしれません。

今日の原油は

8月30日の記事
原油市場
石油メジャーであるロイヤル・ダッチ・シェルのエネルギー主席顧問は、「過去2年間の原油価格を圧迫している世界的な供給過剰は、2017年下半期まで解決しない可能性がある。リビアとナイジェリアから日量150万バレルの供給再開が見込まれることや、イランとイラクの産油量が不透明なため、石油業界の大方が期待する時期よりも需給再均等がずれ込む可能性がある。」と述べております。
ナイジェリアの反政府武装勢力ニジェールデルタ・アベンジャーズは29日、ブリハ大統領宛ての公開書簡で、「我々はニジェールデルタ地帯での敵対行為をやめた。政府によるナイジェリアのすべての再編成に対して忠実かつ前向きな態度を期待する。」との声明を行いました。ナイジェリアの原油生産は、昨年まで日量200~220万バレル程度で推移していたものの、反政府武装勢力による石油施設への度重なる攻撃を受けて今年の6月には日量145万バレル程度まで落ち込み、8月18日時点で日量156万バレルと伝えられております。今回のニジェールデルタ・アベンジャーズの停戦声明を受けて同国原油生産が昨年までの水準に回復する可能性が高まってきました。
リビアカダフィ独裁政権が2011年に崩壊しました。カダフィ独裁政権の崩壊直前の同国原油生産は日量165万バレル程度でしたが、崩壊直後に日量10万バレルを割り込む場面もありました。その後、2012~2013年に日量140万バレル付近まで同国原油生産が回復しました。しかし、カダフィ独裁政権が崩壊したことにより、ISやその他の反政府勢力が台頭し、反政府勢力による同国主要石油施設への度重なる攻撃を受けて2014~2016年の同国原油生産が日量30~40万バレル程度まで落ち込んでおります。しかし、リビアの石油積み出し作業がここにきて回復基調を示し始めていることは注目でしょう。
NY原油は、2月中旬から6月上旬にかけて25ドル幅ほど上昇しました。カナダの大規模森林火災の影響を受けて同国原油生産が約30%落ち込み、それと同時期にナイジェリアの原油生産が約40%落ち込んだことを受けて両国合計で日量約210万バレルの落ち込みとなり、世界の原油需給が日量110万バレルほどの供給不足に転じた計算となりました。それを受けて5月のNY原油の上げ足が速まりました。しかし、カナダの大規模森林火災はすでに沈静化し、ここにきてナイジェリアの反政府武装勢力であるニジェールデルタ・アベンジャーズが政府との停戦を表明しました。そして、サウジアラビアやイラン、イラクの増産が続いております。特にサウジアラビアの原油生産は、3か月連続で過去最高を更新する勢いとなっております。
9月26~29日に開催される増産凍結協議に対して、ここにきてイランやイラクサウジアラビアなどの要人発言により、「増産凍結合意は難しい」との見方も台頭し始めている模様。世界的な原油の供給過剰が2017年下半期まで解決しない可能性も指摘されており、今後の原油市場は、供給過剰観測により上値の重い展開が続く可能性もあります。47.20